
スランガニの歩み
スランガニは、スリランカの言葉で「愛しい人」を意味します。
1992年、代表・馬場繁子により設立され、スリランカ現地NGOとして30年以上にわたり、子どもたちの学びの環境づくりに取り組んできました。
これらの実践を基盤として、2026年に日本にて特定非営利活動法人スランガニを設立。
これまでの取り組みをさらに発展させ、次世代へとつなぐ新たな活動を開始しています。
基盤形成期(1992年〜2005年)
地域の子どもたちの学びの環境づくりから活動を開始。
- 幼稚園開設支援、保育士研修の開始
- 識字教育、絵本環境の整備
- 教育里親制度「Smiles」開始(2003年)
- 洪水・津波など災害時の緊急支援
教育を軸に、地域に根ざした活動基盤を構築。
拡張期(2006年〜2015年)
支援領域を広げ、制度・専門性へ展開。
- JICA草の根技術協力による保育士研修
- 子どもの健康診断・継続治療支援
- 紛争・災害地域への支援活動
- 障がい児支援の取り組み開始
- 「Little Tree」建設開始
教育支援から、福祉・医療・災害支援へと領域を拡張。


統合モデル形成期(2016年〜現在)
教育・福祉・就労を一体化した支援モデルを確立。
- 障がい児通所施設「Little Tree」運営
- 就労支援事業「Little T’s」開始
- 教育里親事業「Smiles」継続・拡大
- 保育士研修・地域支援の継続
- コロナ禍における緊急食料支援
- 社会貢献支援財団 社会貢献者表彰受賞(2021年)
- JICA国際協力賞受賞(2024年)

コロナ下で活動を継続(2020年)
【背景】
2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、スリランカでも外出制限や経済活動の停滞が起こり、多くの家庭が収入減少や生活不安に直面しました。
特に日雇い労働に依存する家庭では、食料の確保すら難しい状況が生まれ、子どもたちの学びの継続にも大きな影響が出ました。
【活動概要】
スランガニでは、これまでの教育支援を基盤としながら、緊急的に生活支援へと取り組みを拡張しました。
- 貧困家庭への食料支援
- 必需品の配布
- 支援対象家庭への継続的な見守り
- 現地スタッフによる柔軟な対応と配布体制の構築
【総括】
感染拡大により通常の教育活動が制限される中でも、子どもたちの生活を守ることを最優先とし、支援を継続しました。
地域の状況に応じて支援内容を調整しながら、現地スタッフが中心となり、家庭単位での支援を実施しました。
この年は、スランガニにとって
「教育支援から生活支援へと役割を広げた転換期」となりました。
困難な状況の中でも活動を止めることなく、子どもたちとその家族を支え続ける基盤が築かれました。
教育の再開と支援の再構築(2021年)
【背景】
2021年は、新型コロナウイルスの影響が続く中、スリランカでは学校や幼稚園の休校が長期化し、子どもたちの学びや生活環境に大きな影響が出ました。
一方で、年後半には学校の再開が進み、子どもたちが再び学びの場へ戻る動きが始まりました。
しかし、家庭の経済状況は依然として厳しく、食料不足や物価上昇など、生活面での不安が続いていました。
【活動概要】
スランガニでは、生活支援を継続しながら、教育活動の再開に向けた支援を進めました。
- 学校・幼稚園の再開に伴う教育環境の整備
- 新学期に向けた文具セット支援の準備
- 教育里親制度「Smiles」による継続的な個別支援
- 日本の支援者との手紙・写真による交流の継続
- 年末に向けた募金活動(新学期支援に向けた資金確保)
【総括】
学校の再開により、子どもたちは再び学びの場へ戻り、友人と過ごす日常を取り戻し始めました。
その一方で、家庭の生活は依然として厳しく、教育と生活の両面を支える支援が必要とされました。
スランガニは、現地の状況に応じて支援内容を柔軟に調整しながら、教育支援と生活支援の両立を図りました。
また、寄附と支援を結びつける仕組みを再構築し、次年度に向けた活動基盤を整えました。
この年は、スランガニにとって
「活動の再開と支援モデルの再構築の年」となりました。
支援の定着と発展(2022年)
【背景】
2022年は、コロナの影響が続く中、スリランカでは経済危機が深刻化し、物価の急激な上昇や生活必需品の不足が広がりました。
特に食料価格の高騰は大きく、主食である米の価格が大幅に上昇するなど、子どもたちの生活環境は一層厳しさを増しました。
教育の再開は進んだものの、家庭の経済状況によっては学びを継続すること自体が難しい状況が続きました。
【活動概要】
スランガニでは、教育支援を軸としながら、生活支援を組み合わせた包括的な支援を展開しました。
- 新学期に向けた文具セット・靴の配布(約180名/5地区)
※総額468,100円の募金をもとに支援を実施 - 食料支援の継続実施(複数回に分けて配布)
- 現物支給と現金支援を組み合わせた柔軟な支援
- 子どもの学年に応じた文具セットの設計・配布
- 日本および海外からの寄附・物資の受け入れと活用
- 子どもの絵を活用したカレンダー制作・販売(自主財源の創出)
【総括】
深刻な経済危機の中でも、子どもたちの学びを止めないため、教育と生活の両面から支援を継続しました。
食料支援や現金支援など、状況に応じた柔軟な対応を行いながら、現場に即した支援の形を確立していきました。
また、寄附による支援に加え、カレンダー制作などの取り組みを通じて、資金循環の多様化にも取り組みました。
支援の透明性を確保しながら、子どもたち一人ひとりに確実に支援を届ける体制を強化しています。
日本法人(NPO法人スランガニ)の設立 2025年~
これこれまでの活動を基盤として、日本(事務所函館市/アプカスによる運営サポート)において特定非営利活動法人スランガニ(2026年1月28日認可)を設立。
- 持続的な支援体制の構築
- 寄附基盤の強化
- スリランカにおける障がい者教育の制度化(政府連携)
より大きな社会的インパクトの創出を目指す新たなステージへ。
主な連携・支援(順不同)
助成団体/日本人コミュニティ
- 在スリランカ日本大使館配偶者の会
- スリランカ日本人会婦人部
- ひろしま祈りの石国際教育交流財団
- 国際ボランティア貯金
- 世界のひとびとのためのJICA基金
- トヨタ財団アジア隣人プログラム
- 草の根・人間の安全保障無償資金協力
企業・法人
- 三菱商事スリランカ
- YKKスリランカ
- ハットン銀行
- 新東海鋳造株式会社
- 株式会社アプランドル
教育機関・団体
- ニュージャージープリンストン校
NGO・市民団体
- アジアを紡ぐ会
- JIPPO
- シギリヤレディネットワーク
- Sri Lanka Relief Fund of America
個人
- 心優しい個人の方々
これまでの活動は、多くの任意団体や個人・企業の皆さまの継続的なご支援によって支えられてきました。現在も、募金活動や会報の発行などを通じて、長年の支援の輪が大切に引き継がれています。
一方で、社会環境の変化や担い手の高齢化などを背景に、支援のあり方も少しずつ変化が求められています。こうした状況を踏まえ、日本のNPO法人スランガニでは、これまでの支援の流れを尊重しながら、新たに対法人向け助成金の活用、国際協力事業への対応、遺贈寄附などの仕組みづくりを進め、持続的な支援体制の強化に取り組んでいます。
それぞれの役割を活かしながら、これまでの支援の蓄積と新たな取り組みをつなぎ、活動を次の世代へと引き継いでいきます。


2003年から始った「スマイルズ」という教育里親プログラムでは、これまで約600人以上のスリランカの子どもたちを支援してきました。スリランカは識字率は比較的高いものの、貧困が原因で学用品が買えなかったり、通学費が払えず十分な教育が受けられない子も多くいます。このプログラムでは、経済支援に加え、里親と子どもが手紙を交換するなど、精神的なつながりも大切にしています。現在は、116名の子どもへプログラムを継続中です。

リトル・トゥリーは、スリランカ・モナラーガラ県ブッタラ地区にある、特別な支援を必要とする子どもたちのための通所型の支援施設です。2011年、地域の保育士たちの声をきっかけにスランガニが開設し、学校に通えず社会から取り残されていた子どもたちに学びの場と安心できる居場所を提供してきました。子どもたちは遊びや活動を通じて、身体や心の成長、自立に向けた力を育んでいます。また、保護者同士がつながり支え合える空間を大切にし、地域の中で共に生きる環境づくりを進めています。

リトル・トゥリーに通い過ごした子どもたちも、16歳をすぎたら、作業訓練をしながら、働くことの基礎を学び、働く意欲を育てます。人の役にたてる一人に成長することは、地域社会でよりよく生きていくこと。スタッフとともに作業をしながら、子どもたちは将来にむけて生きていく力を育んでいます。この地区はさとうきびや、落花生の栽培も盛んです。この落花生を使い、スナック作りをしています。コロンボの小売店やセンターのあるブッタラ地区で、販売が徐々に伸びています。

スランガニは、スリランカ農村部の幼稚園を対象に、教育環境の整備と教諭への研修支援を行ってきました。特に教諭研修では、幼児の発達段階に応じた指導法や遊びを取り入れた学び、障がいのある子どもへの対応、保護者との関わり方など、実践的な内容を重視しています。こうした継続的な研修により、現地教諭の意欲や指導力が高まり、子どもたちの学びの質の向上にもつながっています。また、園舎改修や教材提供に加え、移動図書館の取り組みも行ってきました。

スランガニは、30年以上にわたり地域に寄り添い、子どもたち、保護者、教師とともに歩んできました。その中で見えてきたのは、現場の努力を妨げてしまう社会制度や意識の壁、そして、大きな格差(ギャップ)です。すべての子どもたちの可能性を引き出すために、私たちはこの課題にどう向き合い、何ができるのか。スランガニの活動と課題意識を共有し、繋いでいく次世代への取り組みです。代表の馬場と現地リーダーのジャガン、アプカスの石川さんも加わり、解説していきます!
■NGOスランガニ 現地スタッフ








